月刊萩野事務所
2017年10月11日 水曜日
ハラスメントによる労働争議と安全配慮義務
今月の事務所便りでもご紹介致しましたが、ハラスメント系による労働争議が増加傾向にあります。
先月、大手電機メーカーの社員が自殺したのは、パワハラが原因として遺族が会社に対し1億円を超える損害賠償を求めて地方裁判所に提訴したとの報道がありました。
そもそも「ハラスメントとは何か」について、現場がよく理解していない点が問題であります。
そして「ハラスメント対策」を適切に講じていかないと、企業に大きな「損失」が生じてしまう可能性あります。
本日は企業の安全配慮義務についてのご説明と、パワハラにおける過去の判例を添付させて頂きますので是非とも参考にして下さい。
会社の義務!「安全配慮義務について」
そもそも会社は法律によって働く人の安全を守るよう義務づけられています。
①「労働安全衛生法」
労働災害を防止し、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を積極的に進めることを目的とする法律。
このように、会社は働く人に対しての「安全配慮義務」が明確にされています。
②「労働契約法 第5条」
(労働者の安全への配慮)
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働が出来るよう、必要な配慮をするものとす
会社が安全配慮義務を怠った場合、民法第709条(不法行為責任)、民法第715条(使用者責任)、民法第415条(債務不履行)等を根拠に、使用者に多額の損害賠償を命じる判例が多数存在します。
会社の安全配慮義務違反に問われる理由は次の二つです。
① 社員が心身の健康を害することを会社が予測できた可能性(予見可能性)があり、
② それを会社が回避する手段があったにもかかわらず(結果回避可能性)
手段を講じなかった場合に安全配慮義務違反となります。
安全配慮義務違反を会社側に問う判例、訴訟の種類は様々で、労働災害、うつ病などの精神疾患、自殺、パワハラや職場のいじめ問題など職場環境に関わることばかりです。
安全配慮義務違反をすると会社は何をすることになる!?
⇒会社に安全配慮義務違反があった場合で裁判になるとおもに民法で裁かれることになります。
・巨額の損害賠償請求をされることが想定される
・会社だけでなく役員個人も訴えられることも想定される
・長期にわたる裁判費用
・風評被害などによる売上減や士気低下
訴訟ともなれば会社は損害賠償額だけでは済まない、目に見えない巨大な損失があることも考えられます。
安全配慮義務とは、会社は働く人を守る義務です。逆に、働く人は快適にかつ安全に働く権利があります。
https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/
参考「厚生労働省(あかるい職場応援団)」
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